かくりよの宿飯 弐 第9話
あやかしが棲まう隠世で―― ひと皿の温もりが運命を動かす。 “約束”と“絆”が導く物語。 “あやかし”が見える女子大生・津場木 葵は、ある日突然、隠世《かくりよ》にある老舗宿〈天神屋〉へと攫われてしまう。 祖父が遺した莫大な借金。隠世で交わされていた“約束”。借金のカタとして迫られたのは、大旦那――鬼への“嫁入り”だった。 ところが葵は、その運命をはねのける。――働いて、返す。自分の力で。 借金を返済するため、天神屋のかたすみに食事処〈夕がお〉を開き、真心を込めたおもてなしで、あやかしたちの空腹と心を満たしていく。
