被写界深度 第1話
高校生の早川秀一郎(宇佐卓真)は、心にぽっかりと穴が空いたような虚しさを抱えていた。クラスの中心的存在である友人たちにも恵まれ、遊び相手もいる。けれど、大好きだった音楽を捨てた“あのとき”から、まるで息をしていないように感じていた。ある朝、教室で強烈な息苦しさを感じた早川は、逃げるように校舎の屋上に駆け込んだ。他人の目など気にする必要もない、誰もいない屋上で、早川はようやく、自分を取り戻せた。無意識に、歌を口ずさむ。次の瞬間、シャッターを切る音がした。カメラを構えていたのは、同級生・紺野遼平(平野宏周)だった。「いい顔してたから撮った」
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